スケート場にて/コタロー
 
った。すると、眼の前にスケート場がひらけ、滑っている人たちの姿が見えた。
素晴らしい氷。銀盤は広く、あたしたちがいつも行く凍りついた湖とは比較にならなかった。あたし
は歓喜と緊張から足がふるえた。「まあ、すばらしいスケーターさんたち、どうしたの、滑りましょ
う」。彼女は長い足を上げて氷面をひと蹴りすると銀盤のまんなかに向かって滑ってゆき、真っ直ぐ
にもどってくると、誘うような微笑みを浮かべてうなずき、あたしたちに手を大きくひらいた。あた
したちは、幸恵さんの後についてスケート靴を進めた。彼女は葵衣の手袋をはめたかわいらしい手を
ひくと美しい笑みをうかべて後ろに滑り始めた。

 あた
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