紫衣からの手紙/コタロー
 
ても好きで、施設にいた頃から、いつも詩
集を読んでいました。英語の時間に詩を読むことになり、わたしの番がまわってきてシェリーの「ひ
ばりに寄せて」を暗唱しました。最初の言葉で皆が静まりかえってしまって、その後にはくすくすと
生徒たちの笑い声が響きました。先生も少し微笑まれました。でも、わたしは何故か落ち着きを失う
ことなく最後まで読むことができました。読み終わると、先生の厳かな声が聞こえました。「紫衣さ
ん、十点、皆さんにはおかしいようですが、暗唱とはこのようにするものなのですよ」。わたしは真
っ赤になってしまいました。

 今は春休みですので、お家に帰っています。逸樹様も佳奈様も教養豊かな読書家ですから、本棚に
は多くの詩集や小説があって、退屈することはありません。もちろん、ピアノもありますから、毎日
楽しく佳奈様に教えを受けています。

 近いうちに、由梨絵さん、初香さん、琴葉さんと再会できる日を楽しみにしています。

                                           紫衣
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