幸恵さんからの手紙/コタロー
日は雪が降って、空は白
かったのですけれども、午後にはそれが碧に変わると施設の建物の影が濃くなって、その先の森へ続
く道も陽の光に輝き、そして森もくっきりと見えた後に夕暮れが空を紅に染めはじめたころ、ふたり
の乗った車が着きました。
次の日、優香理さんと澄子さんが、メンデルスゾーンの「ヴェニスのゴンドラの歌」の素晴らしい
連弾を聴かせてくれました。誰もが天分を感じざるを得ないものでしたけれども、由梨絵さんも澄子
さんとよく連弾をしてましたね。私はふたりの音の重なりを今、心の中で聴いています。でも、やは
り、ここでその素敵な演奏風景を再び観たいとの思いが高まるばかりです。
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