可哀想な人たち/こたきひろし
て、衝撃的な告白をしたらしい。
「実はあたしはこの人と長く付き合ってきた。お腹の子供もこの人の子に間違いないと思う。なのに何かの気の迷いであんたと一緒になってしまった。でもそれは体だけ、気持ちはあんたにはなかった。」
あり得ない事実を告げられて知り合いは呆然とした。
それで大量に購入した避妊具はいっぺんに無駄になった。
その話を聞かされて俺は内心笑ってしまった。
勿論、顔とは裏腹な対応ではあったが。
親の力で店を出してもらって、親のお膳立てで女が出来て、おめでたく子供も出来たなんて、俺にはおもしろくも可笑しくもなかったからさ。
他人のしあわせは妬む心をわかせるだけだったし、反面、不幸は一服の清涼剤に等しかった
それが大概の人の偽らざる本心だよな。
だろ。
それに詩を書いてるからって人格に優れている訳でもない。
第一
俺も可哀想な奴に変わりはないんだし。
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