からっぽの食卓/鳴神夭花
君が愛していたものをすべて
壊してみてそうしたら
君は君でなくなってしまうのかって
そんなことをアボカドを凍らせながら
思ったりして
蝉の声がする
誰の所為でもない
僕は一人で
影法師を追いかけている
パチンコ屋の看板が壊れていたよ
そういうものだよ
いつだって壊れているものがあるよ
誰だって狂ったものを
原風景に持ちたくはないだろ
君が愛していたものをすべて
壊してみたかったのかも
今となっては分からないけど
君がそんな僕を憐れんでくれるなら
くれないだろうけど
そんな嘘を吐いてくれるなら
それも悪くはないなって
そんなことを思ったよ
てるてる坊主
仲良く揺れて
明日のトーストには
目玉焼きを乗せてね
半熟がいいな
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