美しいものが/こたきひろし
 
おにヤンマを捕まえて
その片方の足に糸をくくりつけて
飛ばした

それは
ほんの遊び心だった
子供の頃の

無邪気だったから
その残酷さに
何も気づかなかった

そうこうしている内に
大人になってしまった

毎日は
時計回りに
過ぎて
去っていく

それに逆らって
生きてはいけなかった
どこまでも
臆病で弱虫だったから

ある日
街で
公衆電話ボックスを見つけた
まるで化石みたいに忘れ去られ
取り残されていた

いきなり
激しい雨が降ってくる
雨を
強風が煽ってきた

公衆電話ボックスに
僕は逃げ込んだ

街は
たちま
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