四季を悟るにはどうしたら?/高原漣
 
冬の弾き方を、だれか教えてほしい。

夏の奏で方を、だれか教えてほしい。

青空にたなびく白い五線譜は

燃え盛る黒い夜を呼ぶ

重爆撃機が描く交響曲

ぐずつく雲のはこぶ雨の匂いと

車輪の下で息絶える青草の匂いが

家路を急ぎ走る走る、ぼくのまわりで混ざり合う

何度も金色の稲穂が頭を垂れるのを目にしたが、

身棄てるほどの祖国はついに見つからなかった

だれか教えてほしい。春の歌い方を。

だれか教えてほしい。秋の聴き方を。

やがて雨雲が追いついてきて、

ぼくは全身を黒い雨にうたれた

そしていつしか雨は上がって

病んだ月が銀色に輝くが、

あれは中途半端に反射しているだけで

何も応えてくれなかった

混迷だけがぼくの墓碑銘になるだろう
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