ピアノ/パウロ
 
素晴らしく憂鬱な彼方に去っていった

川に行くと友人が釣りをしていた
釣れますかと、僕は訊いた
彼は僕を見上げ感じの良い気取りのない手振りで答えた

ぼくは固く押し込められた小道を通り農民の丸太小屋の前を通り過ぎた
森の水辺、すべての心を離れて自分を塗り込めよう
もっと先の会堂の上、夕焼けの巨大な広がりのなか
微かに霧の立ち込めた草原の真ん中には沈黙だけがあった

ぼくの心は黒い鳥たちと、風に、包まれてゆく
大樹の茂る森閑たる林から動物たち、馬や犬、蛙たちの声が幻覚に似たピアノの音のように聴こえてきた
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