カウントスタッフ/末下りょう
カチカチ 歯と鳩 カウントマシーンが音をたてる
台風がそれた朝の
まだ肌寒い堤防によせかえす波をカウントして ガラスの水滴を震わせて回る数字
鳥と虫とドローン 飛行機をみつけては指で隠す
を繰り返して
パンくずを啄み終えた鳩が
反復されない一つきりの反復につぶされそうなすれすれを
風下のほうに飛んでいく
繰り返しあらわれてくる最大数のかたさに
カウントが響くたびに
そこここでほどけていくものたちが襟足に触れて
風下のほうに去っていく
カチカチ 数字が回るたびに 青さを増して 空と海の区別が消え入るところから
距離は生まれてきて
きらきら静止する
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