アニュス=デイ/ふある
目を開けても見えないものは
目を閉じても見えないと思った
神よ
と一言呟く
相変わらず外は風が吹いていて
夕日が刻々と消えていく
明日への祝福だ
夜を迎える準備をしよう
神よ
と声に出す
祈りを捧げ暗誦するが
風に飛ばされ消えていく
代わりに音楽が聞こえてきた
窓にゆれる音のアンサンブル
さあ 急いで準備しよう
明日までには十分時間がある
テレビを点けると子羊が映っていた
彼女は何処へ行くのだろうか
もう一度お祈り
祝福の準備が終わった
はて 彼女は「彼」だったのでは
神よ
と叫ぶ
目を閉じてもその姿は見えない
夜は迎えられずに終わりそうな気がする
外は風が強くなってきた
窓の音は小さなアンサンブル
目を閉じて呟く
戻る 編 削 Point(4)