まりも/
そらの珊瑚
真昼のまぶしさの下
水中眼鏡で世界をのぞく
あらゆるものがここでしかない自由をまとい
わたしだけが不自由だった
にせもののひれを誰も笑わない
ゆるされていた夏
さよなら、まりも
ひんやりとしたのはほんのいっときだけで
水温はいつしかわたしと同化する
言葉のない世界
だけど
無音の音はあふれて
ゆらいで
くしゃみ
隣合わせの死に泡立つ
捨てた、まりもを想うとき
わたしの酸素だけが足りない
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