胃袋と子宮/
こたきひろし
カモフラージュ
かもしれなかった
中身はいい女の類いだと男は見抜いた
男は言った
俺が詩集ごとあんたを買ってやるよ
それは配慮に欠けた実に乱暴な申し出に違いなかった
金に困ってるんだろ
そうでなければ
ここで詩集なんて売るわけないだろう
そんなもの誰も買うわけないんだから
それを聞いて
若い女性はきょとんとしてしまった
男はかまわず言葉を続けた
買ってやるから
売ってくれないか
それがあんたが売ろうとしている
詩集の付加価値なんだからさ
戻る
編
削
Point
(1)