蝶々が宇宙を/こたきひろし
雄と雌の蝶々が交尾しながら
日向臭い宙を飛び回っていた
周囲はいちめんの花
公園のベンチ椅子は壊れかかっていた
私もいつか死ぬに違いないが
今は死にたくない
壊れかかったベンチ椅子に
か弱い男の体で
おそるおそる座っていた
もし
私の側に知らない女の体がすりよってきて
耳元で囁かれたら
きっとブレーキは効かなくなるだろうな
そこで人間の雄と雌が交尾を始めたら
それはそれで
綺麗だと思うけどさ
浮世絵にしたくなるくらい
神秘的で破滅的で
美しい絵画が仕上がるかもしれないな
私はすこぶる情緒不安定
感情の山川が起伏にとんでいる
妄想が好きで
荒唐無稽の物語を創るのが好きだ
蝶々が交尾しながら
生殖の宇宙空間へと飛んでいった
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