わたしは記憶/
ただのみきや
りながら
忘却の覆いの下に隠されて
顕在化されることもなく もはや他者と変わらないのに
他者としての歩みを微塵も許されない すでに
刻まれた事実以外 なに一つ
そのことに気づいた時
漠然とした口約束だった諦めを 証文にして
自らの実印を押したような感覚だった
言うまでもないが
わたしは過去のわたしが夢見ている憧れなどではない
そればかりは自明すぎて妄想すら追いつくことはない
《わたしは記憶:2019年8月15日》
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