ネムノキの妖精/
丘白月
風がひとりごとを
赤い睫毛に挿していく
合歓の樹は瞬きもせず
ベンチを見下ろす
街灯の代わりに
月明かりを落とし
長い別れの予感が
天秤座を見上げる
朝露のような二人の言葉を
すべての葉に閉じていく
一枚また一枚果てしなく
目を閉じるように
暁に葉が開く時
そこに落ちる言葉は
妖精に抱かれて
新しい命をいただく
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