水玉にとじて/
丘白月
雨音のように
妖精の足音のように
今はもう無いはずの
ピアノが耳の奥で
海鳴りのように降る
目を閉じて幻覚に触れて
優しい声が指先に響いたなら
ソフトペダルを踏むあなたが
紫露草のようにそこにいる
水の精がやって来て
音を一つずつ水滴に閉じて
どうぞと手に乗せてくれる
ころころと転がって
割れそうで割れない
音の水玉をいつまでも
いつまでも見ていた
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