颱風と怪獣/北村 守通
 
ではない。そんな魔物を具現化したのが、このゴジラでの大戸島上陸のシーンだったとも言える。
一方でシリーズ4作目となる『モスラ対ゴジラ』においてはモスラの卵は台風によってインファント島から静岡県に運ばれてきてしまう。この突然現れる異世界の漂着物、というのも台風にとってなくてはならないものである。一夜明けて外に出てみた時に広がる雲一つない青空や、どこからか運ばれてきた出所不明の残骸を見たときの驚き、その様なものがこのシーンの中に閉じ込められているように思う。また、このシーンは怪獣というやはり人智を超えた存在ですらも台風という自然現象に抗う術もなかった、ということを表していて大変興味深い。

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