花時計/
丘白月
季節が一つ
生まれ変わろうとしている
蝉が雨上りの森を見つめる
鳴き声のように
花びらの
流れる音が木霊する
夏の花が散っていく
鈴虫の枯れ葉の家にも
綺麗な屋根がのる
落し物の砂時計はもう
何年倒れたままだろうか
半分土に埋まり
蟻が時を乗り越えていく
花びらを毛布のように
掛けて行ったのは
コットンの妖精だろうか
空から森へ
花が流れて落ちる
花時計が季節に言った
ありがとう
さようなら
こんにちは
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