わたしは/こたきひろし
わたしはわたしを
いちばんに思う人だから
いちばんにしか
思えない人だから
わたしはわたしが大切にするものを
失いたくないものを
全力でまもりたい
わたしは
時に正義を口にするけれど
それは自分を美化したいだけで
けして正義に参加したい訳じゃない
わたしにとって
書くという行為は
自分の正体を暴露するためのもの
なのだ
しかないのかもしれない
そうする事で
わたしはわたしの危なげな内面のバランスを
たもっているのに
過ぎないのかもしれないのだ
要するにわたしは
馬鹿で阿呆で
どうしようもない人間なんだ
朝
洗顔と歯磨きをしながら
洗面台の前の鏡を覗きこみ
そんな思いを痛感している
愚か者なんです
果たして
わたしの明日はどっちだろう
方角がわからない
わからない
わからない
わからない
わからないのです
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