どこ吹く風/ただのみきや
憂いに厭いて 惚け 文ぬらし
爪を砥ぐ気怠さ
褐色の蝶 占わない空の果て 見失い
浸る暑さに
影を広げ すり足で
拾われない小石の顔点々と
避けながら奥へ 真中へ 綱で曳かれる畜生か
ちぎれ飛ぶ 眼差しの
煮詰められた甘さ 量りかねたまま
濛々と 忘却との間 まばゆさを固く畳んで
折り鶴一羽 あどけない死へ舞い降りる
朝顔に捲かれ 寝床は軽く
太陽のない青空に 包まれて
暗い窯へゆっくりと滑り出す
水晶は破裂する
落下した梅の実は
匂いを臭いに変え 木陰に積み上る
後にも先にも腐敗だけを微睡みながら啄んで
裏切るよと頷いて 空を駆け上がる足跡もなく
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