戯れ言/帆場蔵人
 
竜笛が竜の鳴き声であるなら
詩も竜の鳴き声でなくてはならない
ドーナツに穴が空いているなら
詩も穴だらけでなくてはならない
人が嵌って抜けられなくなる
罪深い穴を我々は掘り続けている
なんて非道な輩だと末には腹に
穴があけられるだろうから
夏にはとても風通しが良くなる
風鈴だって吊るせるだろう

もういなくなった二匹の猫たちの
首輪を指で回せば腹の穴を猫たちが
通り抜けていく、猫を追うように
指先から腹の穴に入ればするすると
身体は穴の中に吸い込まれてしまう

どこか遠い草原で
汽笛でも霧笛でもなく
少女が竜笛を鳴らすとき
どこまでも平らかな草原は
竜の背
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