南の島で君は/Lucy
思い出の欠片も落ちてはいない
生まれて初めての南の島
君はそこで何を探したのだろう
たなびく細長い雲に薄くスライスされながら
溶岩のような輝きを溢れさせ沈んでいく
座間味の濃い夕陽
崖の上から眺めながら
君はなぜだか
昔見た利尻島に沈む夕陽を思い出していた
あの時は深い秋だったから
空の色は暗く海も冷たい色で
夕陽だけがくっきりと赤い重い球として空にあり
水平線にそそり立つ島の向こうに沈んでいった
季節が違うだけなんだ
地球からうんと離れたところにあるたった一つの太陽を
視点を変えてみているだけ
星の王子様がちょっとだけ後ろに椅子をずらして
一日に何度も夕
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