Happy Birthday/塔野夏子
 
あの夏の朝に 私が見たものは何であったか

まばゆいかなしみがほとばしり
そして私は そのまばゆさのままに
一心に 泣いたのではなかったか

       *


 あ あ
    あああ
これは夢の中の昏さです
誰か 応えてください
このかたちのない昏さの中の
標をください
あ あ
 ああ あ
  ああ
     あ

       *

ちがうちがう
数えきれないノイズ
をかき分けて泳ぐけれど
さかなのかたちにはなれないまま
ただ心は云いつづけている
ちがうちがう
これじゃない ここじゃない
けれどノイズは
増殖をやめない

 
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