せ/田中修子
あとは
痣になり 腕は
紫陽花の咲く夕暮れの庭となるから
どこまでも広がり滲みてゆく
ひとりきりではない と
熱をもち 腫れあがったそこを、舐めたら
切り落とした蛇の足をきらめく耳飾りにいたしました
「ねえねえねえ。」
「きみは どうも そのまま攫われてしまいそうで。」
光る溶岩が流れ込んできて
うずくまって いくつもいくつも
言星をうむと空っぽ 抱いてよ
「ここへおいで。」
「そこへいきます。」
示されているはずのところがあるのに
ゆで卵のにおい 手をつなぐ人々のなかで ひとり泣いていたあの子
とおい北の空
今夜は 花火が
豪奢に打ちあがる 体に深く滲みわたる
あかやあ きいやあ きんいろ やあ
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