茜/ふじりゅう
 
気まぐれな茜がぽつんとある
ビルの眩い窓群と添い寝したのだろうか
届き来た真南風と溶け込んだ私が
なぜだか コンクリートの上で見ている
産まれたばかりのコンビニ袋も
真っ赤な陽を孕み
あかんぼうのような面持ちで
その情景の構成物と化している
さわ さわ … さわ さわ …

踏まれ尽くし色の消えた都会
働き虫はせっせと東西を駆ける
死んだ都市から僅かに逸れれば
焼き魚の匂いとだんらんの声
安住を探してまた 炭火を加熱す
コンビニで陳列された
栄養バランスの崩壊したおにぎりを
みるみるうちに着火剤とする
私達は摩耗した蒸気機関の
メンテナンスを常に忘れているら
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