夏草たちよ/丘白月
 

夏草たちよ
どうしておまえは
笑っていられるのか
名前も知られず
見向きもされず
気づかれずに踏まれ
庭に咲く花の仇のように
抜かれてしまうというのに
なぜ笑っていられるのか


心配しないでいいよ
庭の花が全部しおれても
私は枯れない
甘い言葉も水もいらない
蝶がキスをしてくれなくても
ミツバチが遊びに来なくても
私は淋しくないの
私の根の先にある意思が
枯れないかぎり


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