女の日/梼瀬チカ
女の日 檮瀬チカ
今日は雨
傘を左手に持ち
雨の中 神社の鳥居の前に独り立ち
今日は女の日で有ったことを思い出す
誰もいない境内の中 鳩たちがひさしに隠れて群れているのを聴く
日本の神道の神々はとても清らかな
タカマノハラ に住んでいて
下界の汚染された大気の猥雑なごちゃまぜのごった返しと
こんな日のひっそりとした私たちを
今日も見ているのだろうか
きっと女の日の私などには眼もくれまい
自分という女しか愛していない
愛していないと捻れ嘆く私は
少しは人として美的で在るかと
問う女で有り続ける
美しく願う事は罪なのかと
女の日でない晴れた日におみくじを
引こうと思う
美しく人としてある
けれど穢れが
今 私に有る
私は黙って
祈ることも願うことも出来ず傘を差し
社を黙って見つめ佇む
雨は静かに降り続けている
鳥居をくぐれない
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