リンドウの妖精/
丘白月
静かな温かい森に
種が蒔かれる
いくつもの色が
ビー玉のように跳ねて
土に消えていく
和歌を一人詠む
病気の子に薬をあげると
約束してから
巡る季節に苦い根を伸ばし
満月が岩木山を縁取る下で
螺旋にまかれた蕾が眠る
明日花が咲いたら
誰でもいいから
迷わずに摘んでいいよ
慈愛の青い花びらを
エヤミグサの妖精は
和歌を詠んでくれた娘と
命を継ぎ足した
遠い夜を忘れない
戻る
編
削
Point
(0)