火を一緒に灯したい/丘白月
夜空の軒先に
小さな火が灯る
真夜中のベランダに見える
タバコを吸ってるあなたの影絵
一瞬見える頬の輪郭が懐かしくて
ゆっくりと歩いて過ぎていく
星を見ているの?
それとも私を想ってくれてるの
今も使っているかしら
会社の旅行で買った
南国のおみやげ
貝細工のライター
陽にかざして綺麗だねと言った
来年は一緒に行こうかと言った
そんなこと話していたのに
たった一つの季節さえ
一緒に超えることも出来なくて
もうじき出会った夏がやって来ます
あなたはもう忘れたかしら
今度は私から言いたい
あれからタバコも覚えて
一緒に火を灯したいと
でもタバコを吸う女は嫌いかしら
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