すいそう/田中修子
って残った藁を、あつめて焼くんだよ。三メートルくらい火柱がたつね、一メートルも近づけない。すごい音がしてさ……おまえはあれを見たことがないんだね」
「わたし、孤児院育ちだから」
「だからそんなふうに命を粗末にするんだね」
いまはもう白くなった、首の傷跡をなぞられる。それは、頸動脈を淡く抑えられることでもあった。
わたしのからだは日に日に透け、そうして薄紫色の燐光を放つ。藻は燐光にあてられて日々増殖し、人はわたしと彼以外すべて飲み込まれてしまったが、動物や植物は逞しく繁殖していく。動物は寿命を終えるその日以外、わたしに感染することはない。生きているうちに感染するのは、人だけだった。
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