すいそう/田中修子
 
 孤独になじむから、すこし壊れかけているような古い町が好きだ。
 その古い町の小さな裏通りに子どもの死体一つ入れられるほどの大きさの水槽があった。緑色の藻が内側のガラスに張り付いていてよく見えない。水もぬったりと淀んでもうじき梅雨にはいる生ぬるい風が吹くのに波打つこともない。これからの季節、蚊がわかないだろうか。
 それともこの中にはわたしに見えないだけで魚がいるのか。

 かつてあったかもしれない水草も光なく腐り、酸素が足りずに喘いでいる魚だ。エラが酸素をもとめて痙攣する。呼吸ができないから魚はどんどん透けて行ってしまう。内側の骨だけが、消えゆく命のように銀色に光っている。
 その澄ん
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