かこう/ねなぎ
 
昔に見た海の色は
緑色に見えて
滑るようだった
そして
そこに注ぎ込まれる
どろりとした流れが
泡立っていた事を思い出す

その海辺には今も昔ながらの手法で
漁業を営む人々が
ゆっくりと暮らしていて
砂に干された網の向こうから
日に晒された
潮の匂いがしている

昔に拾った貝殻に付着していた成分を
今では僕は空で言える

流れていく水に溶け込まぬ物質と
混ぜ合わさった淀みが
ゆっくりと虹色に
光を屈折させていく

天日の下に吊るされた
魚の味の変化と
それを干す手の
日に晒された色を
僕は知っている

働く事でしか得られない食い扶持を

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