その夜/こたきひろし
 
有るだろう

その夜
私は夢の中では
一睡もできなかった

しかしそれは何の不思議もなかった
と思う

夢はいつだって
覚めてはじめて夢だったんだと気づく仕掛けになってる

ふたたび
夢の舞台は元に戻り
空中ブランコになった

私は夢の中の空中ブランコで
宙に放り出されてしまった


同時に私は
花火のように打ち上がって
粉々に砕け散った

その時
はっと我にかえり
夢から覚めた

私は
身体中に寝汗をかいていた


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