月の下、ふたつの孤独/ホロウ・シカエルボク
 
れど、そんなものがあるなんて知らなかった。俺は廃墟好きで、インターネットでもよくそんなものを見るけれど、おそらくそんなサイトにも取り上げられたことはない場所だろう…それに、廃墟サイトも以前ほど盛り上がっていないし。ともあれ、眠れない夜の余興にはもってこいの場所だった。俺は子供のように浮かれた気持ちになりながら入口を潜った。ゲートのところに閉園の挨拶が残されていた。必死で読んでみようとしたが、ほとんどが掠れて読めなかった。「19」という西暦の最初の二文字が読めただけだった。そんなもの、なにも判らないも同然だ。

 様々な有名どころの美味しいところだけを取ろうとして、すべてが中途半端に終わっている
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