月の下、ふたつの孤独/ホロウ・シカエルボク
 
俺は呟いたが、その確かな動作に考えを改めた。まいったな、本気だよ…付き合うと言った以上、俺がそこで尻込みするわけにはいかなかった。決して上れないほどのものではないだろう。覚悟を決めて、優衣の後を追った。優衣はあっという間に頂上に達した。そして、これまた驚いたことに、そこから地上へとダイブした。
 「おい!」
 俺は恐怖も忘れて出来る限りの速度で頂上へと上った。そこから優衣が飛んだ辺りを見下ろしてみたが、そこはちょっとした林になっていて地面を見ることは出来なかった。さすがに飛び降りる気にはなれなかったが、なにかがおかしかった。優衣は自殺するようなタイプに思えなかった。それとも、俺にそれを見せるこ
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