猫と財布 1話/丘白月
をはらうように
財布を叩いた
あっそうだ小銭拾わなきゃ
そう思って落ちた方を見たら
猫がぜんぶ集めて
私の方に持って来た
だめだよ
このお金は僕のだよ
ぜんぶだよ
なんと
猫がしゃべたのだ
その財布返してよ
僕のおねえちゃんのだから
もう一度カードの名前を見た
たかはし ともこ・・・
おまえの飼い主かい?
もういないんだ・・・
ずっと昔に・・・
僕が春に生まれて
夏が来る前に天国へ行ったんだ
だから顔は忘れてしまったよ
今は匂いしか覚えていないんだ
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つづく
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