残火/高原漣
燦々と降る陽光
たちのぼる陽炎
橋の上で蜜柑が弾けた
まぶしい昼は倒れた
頭から爪先まで断続的に覆われて寝ている
白けた月が残る黎明はただ冥く
砂を噛んでやり過ごす
とるにたらない奈落
惨憺たる想いだけが降り積もる
蛋白質というのは、こんなにも悍ましく臭うのか
耳鳴りが消えない、床が波打っている
ああ、この世はあんなにも美しかったのに
果実は爛熟して地に落ちてしまった
なにが価値だったのか、尊いものだったか
もうわからない
私はまだ
燃えているの
燃えているの……
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