どうしよう/桶谷
 
羽子板は遣唐使のおみやげなんだ
と先生は言っていたけれど
ししとうがどこを調べようと載っていない
なぜならばそれは
先生は本当のことを教えるという偏見を利用した
まことしやかな嘘だからなのだ
今まさにししとうは頭を抱えているけれど
その髪の中には潮の薫りが溢れて
人々の嬌声が飛び交っている
汚らしい子供がちんちんを振りつつ
鴉の羽根を追い烏賊の骨を振るものの
ついには太い髭を描かれてしまう
この子にとってはこれもまた悦びなのか
くさいくさいと笑っている
観客のししとうも笑っている
それを見ていたもじゃ髪のししとうは
どうしようと困っている
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