六十四歳になってしまった/こたきひろし
 
六十四歳になってしまった
今更
文学への高い志しなんて持ってないよ

ただただ
インターネットいう海に
言葉の葦の舟で漕ぎ出しただけ
もしかしたらその行く末は
砂漠の果てに打ち上げられてしまうかもしれない

だけど
それがいいんだなア

言葉の雨で貯まった海に
浜辺で組んだ葦の舟

私の底に沈む泥
汚泥
愛欲とか性欲とか
金銭欲とか

憎悪とか敵意とか
ありとあらゆる汚泥

それをすすぎたいから
浄化できるとは思えないけれど

にわかづくりでいながら
嘘の扱いになれた
詩人になろうとしていた

六十四歳
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