古代のお墓/丘白月
 

枯れ葉の積もる森に
文字の消えた石が
鳥の声を聞く

古代の魂が消えることなく
森の天井にこだまする

胡桃の樹が森の水で
実を作り分け与える

今はもう誰もしらない
森を走り回った子供の声が
石から聞こえてくる

古代の森が消えることなく
魂が魂を呼んでいる
木漏れ陽が文字をなぞって揺れる

古代の文字を読んでほしいと
石の上に座ってる精霊が言う

ごめんねもう見えないよ
私は影になった溝をなぞる
風が落ち葉をはらう
涙が文字の上を流れていく

前世の私が一瞬現れて消えた
私の名前だと
そう感じた

何度生まれ変わったのだろう
私のお墓は
いくつ残っているのだろう

きっと知らず知らずのうちに
通り過ぎているのだろう


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