詩と散文のはざま/こたきひろし
 
中学校の教室。
英語担任の竹林先生は中年の男性教師だった。その年齢から普通に考えたら既婚だが、それはこの際どうでもいいかもしれない。
普段は性格の温和な先生だが、授業中に突然異次元世界に飛んで行ってしまう事が度々あって、生徒達の間では「また発作が始まった」という認識で一致していた。
それはどういう事かと書くと、異次元に飛んでしまうのは竹林先生の身体ではなく、身体をコントロールする脳内のタワーに不具合が生じてその結果、誰がどうみても理解できない異常な行動を起こすからだった。
何らかの精神疾患に違いないが、校長や教頭先生、そして同僚の先生たちもその事実を知らない訳はないのに不思議と誰も騒ぎたて
[次のページ]
戻る   Point(1)