妖精館の夜/
丘白月
鬼灯が吊るされ
静かに照らされる
花びらの椅子に座り
スピネットを弾き
森の詩が風に乗せられる
橘の香りがする
ゆるやかな甘い言葉
人の目には映らない
想念にも似た世界
季節の最初と最後を
いつでも見つめて
明日の色を月に翳す
時計のない永遠の館
羽根がいくつも
孤独を振り払って
花にだけ生きている
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