都市の伝説じゃなくて/こたきひろし
都市伝説じゃなかった。
文字通り、地方か田舎の伝説。だから、信じるもよし信じてくれなくてもいい。
俺の父親はちゃぶ台のひっくり返しが好きだったみたいだ。頑固一徹で癇癪持ちで我が儘で無類の酒好きと、悪い所申し分無しの男だった。
気に入らない事があると朝昼晩を問わずに家族の食事の団らんを平気でぶち壊した。
母親にはいつもねちねちとあら探しをして自分の鬱憤を解消していた。
当時はとても嫌いだった父親の口からその話を聞かされたのはある夏の日の夜だった。その日は夕方酷い雷雨に見舞われてしまい、近隣の店に焼酎を買いに行けなかった。
酒を切らした夜、父親はおとなしく静かだった。
まだテ
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