知ろうとするそのときにだけ大きく見開けばいい/ホロウ・シカエルボク
意識の領域にあるもの、知覚出来ているのか出来ていないのか―そんなもののために俺は生きているんだ、お題目が必要なものじゃない、生まれたときに始まり死ぬときに終わる、なあ、一生遊ぶことが出来る代物さ、それがわかるから止めることが出来ないんだ、いまは二十二時過ぎで、カーテンで隠された窓の向こうでは静かな雨の音がしている、こんな夜が何度あっただろう、そして、これから何度訪れるのだろう、俺は指を止めてカーテンを眺める、答えは風の中、って、よくいったもんだよな…それは一瞬で通り過ぎてしまうってことさ、初めて聴いたときにはそんなことわからなかった、きっとディランは俺よりもずっと早くそのことに気づいていたんだろうな、なんて考えながら少し前から俺はずっと、このしたたりを終わらせてくれるものを探している、もう少しでそれはやってくるだろう、そうすれば俺はすべてをしまい込んで、なにかを成しとげたような顔をして眠ることが出来るだろう―もしかしたらそれは、俺自身よりもあんたのほうが、強く感じることが出来るかもしれないな。
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