代償行為をやろう/竜門勇気
 

思えてしまうけど
今日、これでおしまい
ああ、あまりにも君の指が細くて笑ってしまう
僕は靴紐を解いて渡す
これなら
たくさんの力はいらないから

なんで。
笑いながら君は泣く
なんで、こんな無意味がここに?
僕もわからないし
夏が始まっちゃだめなんだって
君が言ったから
僕はそれに反論するための
持ち物が一つもなかったから
なんで。
僕も聞く。なんでなんだ?
どっちでも良かったんだ僕は。
君と最後までいれればそれで

君は僕の手を引いて
缶コーヒーを二つ買って逃げるようにして帰った
僕はたくさんのことがわかった
だけどそのうちひとつくらいしか理解できない
手の中にある缶コーヒーが
まだ彼女をつなぎとめている
ポケットにゆっくりと仕舞ってあるき出す
これが僕から奪うものと
与えるものについては
まだ一人じゃ決められない


戻る   Point(0)