鱗粉の夜/丘白月
 

ハイビスカスの
葉に寝転んで

蜘蛛の巣に架かる
弓張月を見上げる

消えていく彗星のように
蒼い星の粉が風に揺れて
妖精に降ってくる

懐かしい匂いがした

失恋の匂いに泣き疲れ
蝶の蒼い鱗粉を一枚
強く抱いて眠る蜘蛛

妖精にお願いして
蝶になった魚がいた
鱗粉は夜空に似た海の色

鱗粉を一枚
手にとって蝶の国へ
妖精は蜘蛛にキスをして
飛んでいった

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