トンボ玉/
丘白月
天の香具山で妖精が
自分の名前を彫り
夕日で赤くなった
血管のような川で洗う
小さなトンボ玉に
好きだという
たった一つの思いを
麻に編んで通していく
月夜の雨が染みていく
長く終わらぬ雨の歌
新緑の香りが
濡れたシャツにも匂う
静かな夜に傘はいらない
記憶と一緒に少し歩いていたい
消えかけ点滅する街灯に
短い命を寄せる蛾ひとり
妖精が見てるなら
あのトンボ玉をあげておくれ
天国の入り口のような
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