赤と君の口癖/
倉科 然
抗っているのだ
耳障りなMP3と私の言葉の反射線に
何もない虚空に何も変わらない存在を
その夕暮れの赤を
あなたの口癖を
ブラックアウトするコックピットで燃え盛る大地を見た兵士は
さよなら、さよならと虚実を切り裂く免罪付を呟いて
酩酊の夜に起きた殺人は
優しくわたくしを突き刺して
感が冴えすぎて虚無になる瞬間に
夕暮れの赤と
君の口癖と
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