氷の節句/丘白月
 

蝉の声が空に重なる
秋が匂う古い和紙を広げ
朝顔の種に夏の風を置く

水無月の氷室
竹林が滝のように響き
氷が波音から運ばれる

笹の葉を一枚
逢えないあなたを想い
墨を乗せても流れるばかり

季節の半分を
満月の夜に読み返して
池の蛍がもう半分占う


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