ブーゲンビリアの妖精/丘白月
 

和紙で創られた羽根
赤く染まって陽に透ける
白く染まって雲を漉く

紫色の花びらが木陰で
蝶のお昼寝の揺り籠になる
大きな羽根のその中で
小さな花が顔を出す

ただ好きですと
風が言葉を置いていく
黄昏の雨が和紙に文字を打つ

妖精は和装で
懐かしい恋人に逢いにいく
和歌の返事を携えて


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